癒し効果を生む 1/fゆらぎ

都会の喧噪をのがれ、豊かな自然に触れ合うとき、私たちはとても癒されます。それはどうしてでしょうか?
ホタルの光、潮騒の音、小川のせせらぎ、星のまたたき、風やオーロラ等の自然現象。あるいはクラシック等の音楽のある部分のリズム、ある種の形や色彩にみられるゆらぎ現象。

私たちが生息環境の再生を行っているホタルの光は人間の脳のα波を刺激し、生き生きとさせる力を持つと言われています。その光の波長は、530〜570ナノメーター前後で、生物にとって一番識別しやすい波長となっています。明滅のリズムには規則性があり、かつ完全に規則的なものではなく、微妙なゆらぎがあります。私たちが心を病んだ時や感情が高ぶった時、このゆらぎが安らぎと癒しをもたらしてくれるのです。このリズムのある範囲の波長のことを1/fゆらぎといいます。

人間の心拍等の間隔にも1/fゆらぎを持つことが多いことが挙げられています。1/fゆらぎの光を見たり、音を聞いたり、感じているときの人間の脳波を測定するとリラックスしたときに出るα波がβ波やθ波に比べて沢山出てきます。このα波が出てリラックスするというところから、癒し効果を生むと考えられています。

典型的な1/fnゆらぎのモデル対数表示

ホタルの光には“1/fゆらぎ”と呼ばれる独特のリズム(変動現象)が見られることが判明してる。「ゆらぎ」とは、一般に平均量からの個々のずれ、または平均値の近くで変動する現作用全体のことをいう。また、「f」はfrequency(周波数)の頭文字で、周波数が低い部分でのパワーレベルが高く、周波数が高い部分のパワーレベルが低い、つまり周波数に逆比例する傾向から「1/f」と表現される。

1/fゆらぎは、癒しに関連のある現象として現在注目されており、そよ風等の自然現象のみならず脳波や心拍などの生物電気現象にも観察されている現象である。たとえば、生体膜電位のゆらぎや生態内部で発生している電気信号のゆらぎにも1/fモードのゆらぎ現象が含まれる。この1/fゆらぎを持つ変動現象は、最近のさまざまな研究から人間にとって心地よく感じられる現象であることが明らかになってきているが、その理由はまだ解明されていない。また、心拍ゆらぎに代表されるような人体固有の変動現象には1/fゆらぎを持つものが多い事が挙げられている。ホタルの光においては、その輝度(明るさ)変動、輝度差(最高輝度や最低輝度の差)変動、発行間隔の変動などに1/fゆらぎが確認されている。

『ホタル、こい!』-ホタルの光を科学する-阿部宣男 著 清水弘文堂書房より抜粋 P58-59